大判例

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名古屋地方裁判所 昭和44年(ワ)2593号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕被告の時効の抗弁について按ずるに、本件事故発生の日が昭和三八年五月九日であることは前認定のとおりであり、<証拠略>によれば、原告は、その翌日頃には加害者及び損害を知つたことが認められるから、原告が本訴を提起した昭和四四年九月五日以前の昭和四一年五月一〇日頃には消滅時効が完成していたことは明らかである。

しかるところ、原告は、被告は時効を援用することは許されない旨主張するので、以下、この点について検討する。<証拠略>を総合すると、前記の如く本件事故発生の日の翌日、当時、被告会社の本件事故担当社員であつた沼田右門は原告に対し被告車の修理費及び原告の治療費全額を負担すべきことを約し、車の修理費八万余円は支払つたが、治療費については医師の診療関係書類を売出後支払うこととしていたところ、その後、沼田は再三、原告に対し右書類の提出を求め、最後に昭和四一年一〇月頃、原告との間で、前記二認定の如く原告が、その頃までに諸方の病院で診療を受けた治療関係費用を確認したが、結局、被告は、治療費を含め、原告の蒙つた人的損害を全く賠償せずに今日に至つた事実が認められる。<証拠判断略>以上認定事実によれば、被告は時効完成後に本件損害賠償債務を承認したものと認めるのが相当であり、したがつて、被告は、その後、右債務についてその時効を援用することは信義則に照らし許されないものと解すべきである。 (可知鴻平)

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